2008年 01月 29日
学会渡り歩き |
『紫陽花図角皿』
何とも季節はずれの、作品ですが、
昨日まで、東京藝術大学美術館の陳列館で開催されていた
『日韓中国際陶芸展』(主催:東京芸大、共催:ソウル産業大・日本陶磁芸術学会)で、
展示していた作品です。
そして、その日本陶磁芸術学会が開催した国際シンポジウムがあり、
十数名の各国(日本、韓国、中国)の陶芸家の発表を聞いてきました。
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実は、
この週末二日間、久しぶりに工房を出て、
東洋陶磁学会と日本陶磁芸術学会の
研究会の渡り歩き・・・のような時間を過ごして、いろいろな話を聞いてきました。
そう、
最近あまり動いていなかった脳みそを、
(少し・・・だいぶ空回りしていましたが)一生懸命回転させていたのです。
いろいろな立場・価値観の方の
いろいろな話。
面白かったです。
・・・その中の話題から、聞いて考えた事、自分勝手に想った事 一つ書いてみます。
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・・・以前から聞いていましたが、
日本的価値観の『工芸』と言う言葉に対応する的確な英単語が無いらしい・・・です。
歴史・文化が違うのだから、当然と言えば当然です。
「ふ~ん。」・・・今までは、そんな感じで過ごしてきました。
そもそも国内でも、
『工芸』と言う言葉の意味について、いろいろなとらえ方があるのですから。
でも、この国際化の時代、
「ふ~ん。」なんて言ってられない、どうにかしなきゃ・・・と言うのも肯けます。
日本的工芸の仕事の世界を紹介する必要はあるのだから、
作り手としても、知って頂きたいのですから、
言葉の問題は、やはり無視できません。
作品を観て、その魅力は一目瞭然・・・と ありたいですが、
まずは、観て貰うようにしなければならないと言うところから始まります。
言葉の問題・・・
とても残念な事に、英語の能力が限りなくゼロに等しい私は、
基本的にその論議に入りきれません。
でも、
学識者の先生方が、「無い。」とおっしゃっているのだから、そこは確かなのでしょう。
『 Craft 』と言う言葉が使われたりしますが、その言葉の認識されているニュアンスは、
日本の『工芸』とは だいぶ違うそうです。
と言うのも、
昨年、大英博物館での展覧会のタイトルの関係で、
イギリス人に事前調査を行ったところ、
『Craft』という言葉を、大半の回答者が 「粗末な民俗工芸 を想像した」と
言う事だそうです。
先生方は、色々考えられていて、
『 Crafting Beauty 』 とか、また『 Craftical Formation 』のように造語までされて、
ニュアンスの近い言葉を捜し求め、作られていました。
(物事を的確に伝えるとは、本当に大変な事です。)
・・・言葉を知らない私は、英単語に対応する言葉が無いのなら、
『 Kougei 』とそのまま表記すればいいのでは・・・なんて思ったりもしました。
別にその意味合いを説明すればいいのでは と思うのです。
でも、
専門家の先生達がそんな簡単な事を考えていないわけ無いのでしょうから、
何か上手くない事情があるのかもしれません。
さてさて、話題を変えて、展覧会の案内を一つ。
明日から、家内(井ノ口貴子) が東京銀座で、
磁器物の若手作家・明石拓馬さんと二人展をします。
どのような展示になるのか、私も楽しみなところです。
ご来展頂ければ、何よりの励みになるかと思います。
宜しくお願いいたします。
井ノ口貴子(漆) ・ 明石拓馬(磁器) 展
1/30(水)-2/4(月)
11:00-19:00(最終日は、17:00まで)
東京都中央区銀座4-3-5
銀座AHビルB2F
TEL.03-3535-5321
詳しくは、下記のブログを御覧下さいませ。
・ 『作漆便り。』
by ikkannet
| 2008-01-29 10:56
| 私の仕事