2007年 12月 13日
葉は、提・頓・提・頓・掟・・・ |
何気なく我が家の本棚から発掘された南画の技法書。
『 南画手法 』 (日下部道寿 著、清雅堂 発行 )
実家の本棚にあったのが、いつの間にか我が家の本棚に移っていました(笑)。
和綴じで紙の色が焼けてきていて だいぶ古めかしい雰囲気ですが、
それ程は古くありません。昭和41年出版のものです。
写真を交えながら、丁寧な文章で、書き方、筆運びなどを指南してくれています。
たとえば、こんな風な写真で・・・
実際を見せながら教えるのは、とても伝えやすいのですが
(それでも肝心なところはなかなか伝えられない・・・)、
言葉で・・・それも文字で伝えるのは、とても難しいことです。
たとえば、この本では、
蘭の葉の書き方のページも次のような具合な書き出しで始まっています。
一、第一葉
先ず筆を十分に水にひたし、それを十分に布巾でぬぐいます。つぎに筆の先の片面に濃墨をややたっぷりつけます。そして肘を机から離し、いわゆる懸腕の姿勢でかくのです。
かきはじめ、すなわち起筆は墨のついた面を左にして、墨のつかない面との中間でかく心もちで筆を立てて、筆先の尖端を紙につけると同時に、筆を斜右上にさっと運びます。そして初めは細く、だんだんに筆を右へたおしつつ線を太くし、葉の中程を過ぎるころからだんだん細くし、最後に筆を拇指で右へ九十度ほどひねりながら紙から離します。それがいわゆる収筆です。ここで筆の状態は、再び墨の面が左側となりそのまま第二筆に移れるようになっています。これがふつうの場合ですが、その初めの細いところを「提」と呼び、太いところを「頓」と呼びます。提は筆がやや速くなり、頓はやや遅くなります。
葉が途中でよじれているのを表現する場合には、その都度提を用いればいいのです。すなわち一回よじれている葉は、提・頓・提・頓・掟という順序となります。長い葉の場合などにはそれ以上途中でよじれるものがありますから、それは提頓を更にくり返すことによって表現できます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
如何でしょう?
絵一つ、線一本にこんな感じです。
細いってどの位?太いってどの位?速いってどの位?遅いってどの位?etc.・・・、
よく分からない・・・しかしそれが、実は、色々なイメージを膨らませてくれます。
この文の写真もありますが、あえて文章だけでも、
結構感じるものです。
「時に、こんな技法書も面白いな・・・。」と
筆に墨をつけながら、読み進んでしまいました。
近頃では、DVDなるモノも出てきて、
より多くの様々な情報が伝えられるようになってきているようです。
もちろん、具体的で現実的で、とても素晴らしい事です。
でも、どこか少しあいまいな要素があってもいいのだな・・・なんて思ったりも・・・。
ちなみに、上記の説明文の写真は、これでした。
さて、話題は変わりますが、
家内が作家活動を本格始動したのを機会に、
その仕事ぶりや漆の魅力を紹介しようと、
ブログ 『 作漆便り。』 を立ち上げました。
それこそ少しずつのUPになるかもしれませんが、
時々お付き合いいただけると嬉しいです。
『 南画手法 』 (日下部道寿 著、清雅堂 発行 )
実家の本棚にあったのが、いつの間にか我が家の本棚に移っていました(笑)。
和綴じで紙の色が焼けてきていて だいぶ古めかしい雰囲気ですが、
それ程は古くありません。昭和41年出版のものです。
写真を交えながら、丁寧な文章で、書き方、筆運びなどを指南してくれています。
たとえば、こんな風な写真で・・・
(それでも肝心なところはなかなか伝えられない・・・)、
言葉で・・・それも文字で伝えるのは、とても難しいことです。
たとえば、この本では、
蘭の葉の書き方のページも次のような具合な書き出しで始まっています。
一、第一葉
先ず筆を十分に水にひたし、それを十分に布巾でぬぐいます。つぎに筆の先の片面に濃墨をややたっぷりつけます。そして肘を机から離し、いわゆる懸腕の姿勢でかくのです。
かきはじめ、すなわち起筆は墨のついた面を左にして、墨のつかない面との中間でかく心もちで筆を立てて、筆先の尖端を紙につけると同時に、筆を斜右上にさっと運びます。そして初めは細く、だんだんに筆を右へたおしつつ線を太くし、葉の中程を過ぎるころからだんだん細くし、最後に筆を拇指で右へ九十度ほどひねりながら紙から離します。それがいわゆる収筆です。ここで筆の状態は、再び墨の面が左側となりそのまま第二筆に移れるようになっています。これがふつうの場合ですが、その初めの細いところを「提」と呼び、太いところを「頓」と呼びます。提は筆がやや速くなり、頓はやや遅くなります。
葉が途中でよじれているのを表現する場合には、その都度提を用いればいいのです。すなわち一回よじれている葉は、提・頓・提・頓・掟という順序となります。長い葉の場合などにはそれ以上途中でよじれるものがありますから、それは提頓を更にくり返すことによって表現できます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
如何でしょう?
絵一つ、線一本にこんな感じです。
細いってどの位?太いってどの位?速いってどの位?遅いってどの位?etc.・・・、
よく分からない・・・しかしそれが、実は、色々なイメージを膨らませてくれます。
この文の写真もありますが、あえて文章だけでも、
結構感じるものです。
「時に、こんな技法書も面白いな・・・。」と
筆に墨をつけながら、読み進んでしまいました。
近頃では、DVDなるモノも出てきて、
より多くの様々な情報が伝えられるようになってきているようです。
もちろん、具体的で現実的で、とても素晴らしい事です。
でも、どこか少しあいまいな要素があってもいいのだな・・・なんて思ったりも・・・。
ちなみに、上記の説明文の写真は、これでした。
さて、話題は変わりますが、
家内が作家活動を本格始動したのを機会に、
その仕事ぶりや漆の魅力を紹介しようと、
ブログ 『 作漆便り。』 を立ち上げました。
それこそ少しずつのUPになるかもしれませんが、
時々お付き合いいただけると嬉しいです。
by ikkannet
| 2007-12-13 23:52